チームボードの左側に

Roman Pichler 氏から転載許可をもらえたので、pichler consultingの記事から『Product Vision Board』と『Product Canvas』という2つのツールを紹介します。シンプルなものですが、かなり強力な手助けになるんではないでしょうか。

ちなみに Roman Pichler 氏といえば、『スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理―顧客に愛される製品開発』が江端 一将さん訳で発刊されています。プロダクトオーナーの門を叩いた人にはオススメしておきたい本です。


■Vision Board

元の記事: The Agile Vision Board: Vision and Product Strategy

http://www.romanpichler.com/wp-content/uploads/2011/05/SampleProductVisionBoardDigitalCanvas.jpg

プロダクトを開発するより前の段階で使うもので、見てのとおり、5つの区分だけで非常にシンプルに構成されています。

VisionStatement

何を成し遂げようとしているのか。簡潔に要約して 2 sentencesで表現する。

Target group

誰にとって有用なのか。ユーザは誰か、顧客は誰か。

Needs

なぜこれを使いたいと考え購入するのかを明確にする。

Product

成功のために重要な特徴や主要な機能。

せいぜい5個くらい。多くをリストしてはいけない。

Value

その製品に対して会社が投資するに値する理由。

このボードは、プロダクトの機能を議論するよりも前に、例えば、顧客やユーザーが抱える問題についての仮説や、それをプロダクトがどう解決するか、といったことを表現し、市場調査や洞察を加える目的で使います。

http://www.romanpichler.com/wp-content/uploads/2011/05/ValidationAndResearchWithTheProductVisionBoard.jpg

このような仮説検証のアプローチは、『リーン・スタートアップ』で有名なので知っている方も多いでしょう。Roman氏の元記事でもインタビュー手法などの解説があるので参考にしてみてください。

 

Lean Canvasのワークショップなどを体験した人には、「分かっているようで明快にできない」という経験をしたことがあるのではないでしょうか。

この5つの項目は仮説検証のアプローチに限った話ではなくプロダクトのビジョンやコンセプトを整理するうえで、これだけに絞った軽量なテンプレートとして何度も書き直すのに有効だと思います。

 

印刷して使えるファイルや、Googleドキュメントのテンプレートなども元記事からリンクがあります。

 

ここで解決する問題がクリアになれば、次の「Product Canvas」を使って、イテレーションで達成したいことを明確にしていきます。つまり、プロダクトバックログを作っていきます。

 

  ■Product Canvas

元の記事: A Product Canvas for Agile Product Management, Lean UX, Lean Startup

http://www.romanpichler.com/wp-content/uploads/2012/07/SampleProductCanvas2.jpg

こちらも見ての通りシンプル(* 項目の説明はたぶん不要なので元記事を参照してください)。

一番右の[Product Details]が次のイテレーションのためのプロダクトバックログ・アイテムになるわけですが、チームが開発してそのままどこかに流れ去るのではなく、大切なのは、ぐるぐる回すということです。

http://www.romanpichler.com/wp-content/uploads/2012/07/ProductCanvasAndLearning3.jpg

Roman氏は別の記事で、プロダクトバックログには創発(emergence)だと説いています(The Product Backlog as a Learning Tool)。

 

ツールの用法/用例は別の記事で紹介されています。今回はその内容まで紹介しませんが下のリンクを参考にしてください。


今回の紹介は、詳しい説明を省いています。私に英語×日本語表現に自信がないので誤解を招かないようにしたかったのと、ツール自体が説明が不要なほど簡潔なので大丈夫だろうと考えました。

 

プロダクトバックログを管理することで悩んでいるプロダクトオーナーは少なくないのではないかと思ってます。こういったツールがヒントになればと紹介させてもらいました。

私自身も使ってみて新しい発見があれば追加で記事にしようと思います。また、Roman氏のブログには、悩めるプロダクトオーナーにとってヒントになるような記事がいろいろあるので、機会があれば紹介していきたいと考えています。 

 

 

 

スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理―顧客に愛される製品開発

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